- KiNARI 編集部
- 2020年6月6日
- 読了時間: 1分

ずいぶんと前の話になるが、友人と1ヶ月程インドを旅した。バックパッカーの貧乏旅だったが、その日々は今でも心に強く残っている。
外出自粛の続く中、ふとそのことを思い出し、押入れを漁った。
大量の現像済みフィルムが出てきて途方に暮れるが、1枚ずつスキャンしていく。
これは、と思うものもいくつかあったが、大半はありきたりで面白みにかけるものだった。
初めての異国の地で、もっとヒリつくような日々だったと記憶しているのだが、
客観視できるほどに年月が経ち、あらためて見た写真は、とても平穏なものだった。
どうにかあの時の感覚を再現できないか。
ライトボックスに並べたポジフィルムを見ながら、ふとフィルムを重ねてみてはどうかと思った。
無作為に選んだ2枚のフィルムをぴったりと重ねて、1枚の画像としてスキャンしていく。
そうすると予期せぬイメージが生まれてきた。
あの時感じた、熱と喧騒と砂埃と匂いが紫煙の中でグニャグニャになり、前後が折り重なっためまいのようなもの。
記憶は正しかったと、安心した。














